裁量と多様性が協業の可能性を広げる。外部出身者が語るCVCの働き方|TOPPAN talk

凸版印刷は新事業・新市場の創出のため、2016年7月から現在までに国内外50社強のスタートアップ企業へ出資・提携をしてきました。その中で、スタートアップ企業と凸版印刷の橋渡しをするのがTOPPAN CVCです。シリーズ「TOPPAN talk」は、そんなTOPPAN CVCの方々に話を聞いていきます。

今回お話してくれた佐藤と滝本は、両名とも入社1年程度の中途入社組。TOPPAN CVCに入ってからは「裁量が大きい」「多様性がスタートアップ投資にも生きている」と話します。入社の経緯からTOPPAN CVCでの働き方や来てほしい人財等を語ってもらいました。

キャッチアップの大変さは可能性の裏返し

── 佐藤さん、滝本さん、本日はよろしくお願いします。まずは簡単に2人の自己紹介をお願いします。

佐藤:
佐藤と申します。新卒で小規模なPR会社に入社したあと、成長産業支援事業(スタートアップメインの転職エージェント事業等)を展開するフォースタートアップス株式会社に転職し、2021年からTOPPAN CVCで働いています。

佐藤 直紀|Sato Naoki
PRコンサルタントを経て、2018年に成長産業支援事業を営むフォースタートアップス(株)に入社。独立系のベンチャーキャピタルと協業し、主にEXIT前のスタートアップをヒトに焦点を当て支援に従事。フォースタートアップス自体も入社時の30人規模から最終的には100名規模に組織拡大し、2020年3月には東証マザーズ上場を経験。2021年より凸版印刷に入社し、スタートアップとの資本業務提携ならびに事業開発に従事。名古屋大学法学部卒業。

佐藤:
私はいわゆる「デスクレスSaaS」、つまり今までアナログだったものをデジタル化するようなサービスに関心があります。CVCでは、倉庫の空きスペースと荷物の保管場所を探す荷主のマッチングプラットフォーム「souco」を運営する株式会社souco、店舗マネジメントツール「はたLuck(R)」を運営する株式会社HataLuck and Personを担当。サーキュラーエコノミーや海外への投資にも興味があって、協業できるスタートアップを探しているところです。

滝本:
滝本です。私は大学を卒業してから、知人と創業したコンサルティング会社の取締役に就任しまして、アクセラレーションプログラムの運営をしたり、新規事業創出支援をしていました。ただ投資がセットとなった新規事業をやってみたいと思って、2021年にTOPPAN CVCにジョインしています。

滝本 悠|Takimoto Haruka
大学を卒業後、新規事業開発支援/アントレプレナー支援を展開するGOB(株)を創業・取締役に就任。 大手企業における新規事業創出やアクセラレーションプログラム等の運営に携わる。またIoTスタートアップの立ち上げに参画し、クラウドファンディングで過去最高の購入(当時)、多数のメディア掲載、大手店舗での取扱い、資金調達等に繋げる。2021年に凸版印刷入社。早稲田大学経営管理研究科卒業。

滝本:
CVCではAI議事録作成サービス「AI GIJIROKU」を始めとしたAIソリューションを開発する株式会社オルツ、定額制宿泊サービス「HafH(ハフ)」を提供する株式会社KabuK Styleなどを担当しています。

── 2人とも凸版印刷に入社して1年前後とのことですが、入社してからの凸版印刷の印象はいかがですか?

佐藤:
想像以上に様々な事業領域を展開しています。広すぎて未だに把握しきれていません(笑)。

滝本:
本当に色んなことに取り組んでいる会社です。どこでどのような事業探索を行っているのかキャッチアップが大変です。ただ裏を返せば、それだけ幅広いスタートアップとご一緒できる可能性があるということ。そういう意味では協業検討のしがいがあります。

想像以上の「自由」と「裁量」

── 2人はなぜTOPPAN CVCに入社したのですか?

滝本:
投資を手段にした事業開発がしたいと考えていました。先述したように私の出自は事業開発系の会社で、起業家や企業における新規事業の事業計画策定やプランニング、ニーズ検証等をお手伝いしていました。それ自体は非常に面白かったのですが、そのフェーズを終えると、成長のために資金が必要なケースが多かった。それで「投資をしつつ事業を大きくする」ということに興味をもったんです。

そんな矢先に元から知り合いだったTOPPAN CVCの方にお声がけいただいたことが、入社のきっかけになりました。

佐藤:
そうなんだ。僕は凸版印刷ともう1社、スタートアップの正社員1人目にならないかと誘われていたのですが、凸版印刷を選びました。

凸版印刷を選んだポイントは3つあります。まずは「中の人がよかった」こと。僕もTOPPAN CVC内部の方に誘っていただいたのですが、その方が魅力的でユニークな方だったという影響は大きいです。

次に、自分の仕事として、投資と事業開発の両方をやれる機会はそうそうないだろうなと感じたこと。投資が絡むので、普通は投資銀行出身者等に声をかけると思うんです。でもそこでPR・人材畑出身の僕に声をかけてくれたことはありがたいなと感じました。最後に市場価値。前職で市場価値を高めることの重要性を身に染みて感じ、TOPPAN CVCの経験は後々にも生きると考え、入社を決意しました。

── 入社前後でイメージの違いはありましたか?

佐藤:
前職には上場前に入社しているのですが、スタートアップって仕事がたくさんあって、いつも仕事に追われているんです。日程調整や確認メールなどのロジ作業が多いというか……それが嫌なわけではなくて、それを楽しめる人間がスタートアップには向いていると思います。

ただ今の仕事は逆で、自分の頭を使って考えることが増えました。ロジにはある程度の正解がありますが、TOPPAN CVCでは正解のない仕事を任されています。今まで使ったことのない頭を使っていますね。

ギャップという意味では、想像よりも「自由」です。凸版印刷は創業から120年以上の会社ですし、正直もっと固いイメージがありました。コロナ禍のリモートワークで出社も限られていることもあり、今の情勢に応じて柔軟に働いているのは、いい意味で驚きでした。

滝本:
確かに、自分で考えて行動することは多いですね。

── 「自分の頭で考える仕事」というのは「裁量がある」ということですか?

佐藤:
そうですね。「この領域限定で協業案を考えろ」みたいなことはありません。全て自分で一から考えます。こういう世界観を作る。こういう課題をこう解決する。そのために凸版印刷のリソースをどう使うか。時間の使い方も任されています。

滝本:
自分から手を上げるスタイルなので、そういう意味ではスタートアップと同じですよね。

佐藤:
ただ裁量があることの裏返しで、成果や評価の難易度は高いですね。将来のキャッシュフローを作るための探索にお金を使わせていただいているという意味でいくと、まだまだ成果は出せていないと感じます。

── 2人とも投資のバックグラウンドはないですよね? その中で裁量をもつのは大変じゃないですか?

佐藤:
前職からスタートアップと仕事をしてきたせいか、わからないなりになんとかしていく姿勢はあると自認しています。わからないことは皆に聞いて、なんとかしていますね。

もちろん、最初に出資の流れの説明等、研修的なサポートもかなり充実していると感じます。

滝本:
私はMBAも通っていたので、理論的なお勉強は入社前にしていましたが、先輩方も常にあらゆることを勉強していますから大変という意味では終わりはないと思います。社内では勉強会も行われているし、情報のシェアも多い。フィードバックも随時もらえています。

佐藤:
確かにインプットしてきたものに対してのアウトプットの機会は多いかもしれません。例えばスタートアップとお会いしたら、その会社・サービスについて社内でシェアするように推奨されています。

滝本:
バックボーンが違う方も多いので、同じ話をシェアしても、人によって所見が違うのは興味深いです。全員が同じ意見になることは滅多にありませんね。
CVCは「スタートアップと連携するための組織」ですから、意見に多様性があるのは、TOPPAN CVCの良いところだと思います。

佐藤:
未だに「そういう協業の仕方があるか」と唸ることがありますからね。まだまだ事業開発しきれていないなと感じています。

大事なのは、スタートアップが好きなこと、学び続けること

── TOPPAN CVCは絶賛採用中とのことですが、どのような方が向いているでしょうか。

佐藤:
まずスキル的な話をすると、特にいらないかと思っています。入ったら嫌でも身につきますよ。

滝本:
佐藤さんはそういいますけど(笑)、前職がスタートアップ関連だったから知識はあったんじゃないですか? SaaSやらARRやら、どのくらい知っていました?

佐藤:
ARRは知っていましたけど、ユニットエコノミクスはわからなかったかな(笑)。でもそれも覚えていけばいいですから。

佐藤:
入社時点で必須ではないですが、プロジェクトマネジメントはできるといいですね。出資もするし事業開発もするし、当然スタートアップもいるので、ステイクホルダーがたくさんいる。それを上手く取りまとめていく能力は必要になります。僕はPR会社でその経験があったので、今役に立っています。

── マインド面はいかがですか?

佐藤:
スタートアップが好き。これに限ります。凸版印刷以上にスタートアップが好きなことの方が絶対に大事。スタートアップへの好奇心が大事です。

滝本:
それは間違いない。

滝本:
好奇心と言っていいのか、あらゆることのキャッチアップが好きであると良いと感じます。新しい市場、新しいビジネスモデル、新しい概念等が次々と出てきますから。学びが終わることはない仕事ですね。

── TOPPAN CVCをオススメしていただけますか?

滝本:
TOPPAN CVCは2016年より活動しており、50社以上のスタートアップへ出資させていただいています。また最近ではMorning Pitchの大企業イノベーションアワードや、イノベーティブランキングでも選んでいただけることが多くなってきました。我々新参者もこうした活躍の一助となれるよう頑張りますし、活躍できる地盤がある組織であるとも感じます。ぜひ、興味がある方はお気軽にお声掛けください。

佐藤:
私自身もスタートアップ投資の経験がない中で、TOPPAN CVCの方に声をかけてもらい入社しました。チャレンジングな企画を立てることや新しいインプットが多いことに恐れず、ご関心あれば協業でも投資でも一緒に働くことでも、何でもお声がけもらえれば嬉しいです!

(取材・執筆:pilot boat 納富隼平、撮影:ソネカワアキコ)