スタートアップ企業に重要な指標、「バーンレート」と「ランウェイ」とは

スタートアップが事業計画や資本の調達について考える際に重要な「バーンレート」と「ランウェイ」。何となく耳にしたことはあるけれど、正しく理解できるかどうかは不安、という方もいらっしゃるかと思います。この記事では会社経営者、あるいは起業を考えている方などに、この2つの用語を分かりやすく解説するとともに、会社経営の現場でどういったことに留意すべきかを考えていきます。

スタートアップの経営者が把握すべき「バーンレートとランウェイ」

スタートアップ企業の経営者が将来的な成長を考える際、下記の2つの用語の知識は必須です。

● バーンレート
● ランウェイ

バーンレートとは、会社経営のために必要とする1ヶ月あたりの資金のことです。また、ランウェイとは、残キャッシュ総額÷バーンレートで算出される数値で、資金が尽きるまでの期間を意味します。

以下の項目では、バーンレートの種類や、安定した経営のためにバーンレートとランウェイがどのような状態だと適切か、などについてより詳しくお話しします。

バーンレートとは

バーンレートには大きく分けて下記の2種類があります。

● グロスバーンレート
● ネットバーンレート

グロスバーンレートはコストの合計額を指し、ネットバーンレートは、グロスバーンレートから収入を引いた額、つまり、実質のコストを指します。バーンレートという言葉が使われる時、基本的にはネットバーンレートのことを指していることが多いかと思います。ネットバーンレートは、実際に1カ月にどのくらい資金を消費したのか、消費ペースはどのくらいか、といった現状を把握でき、あとどのくらいの資金余力があるかを見積もる際の具体的な指標となります。

グロスバーンレート

グロスバーンレートの「グロス(gross)」とは、「総計/総体の」を意味する言葉で、グロスレートとは事業にかかる1カ月あたりの総コストを指しています。

ネットバーンレート

他方で、ネットバーンレートの「ネット(net)」とは、grossの反対語で、「純~/正価の」を意味する言葉で、ネットバーンレートは事業にかかる1カ月あたりの実質コストを指しています。

ネットバーンレート=(総コスト-売上)÷期間で算出される数値です。例えば、12カ月で総コストが240万円、売り上げが120万円だったとすると、ネットバーンレートは10万円となります。この数値が大きいほど、資金余力には注意しなければならないといえます。

ランウェイとは

ランウェイとは、資金を使い切るまでの期間のことで、残りの資金÷バーンレートで算出します。この数値の把握は、安定した資金繰りを行うために重要となります。

例えば、残りの資金が40万円でバーンレートが10万円の企業の場合、ランウェイは4カ月となります。そのため、この企業は、残り4カ月の期間でコスト削減や収益向上のための経営戦略を練り直し、事業を継続する資金を調達しなければなりません。

スタートアップ企業に重要である理由

バーンレートとランウェイは、特にスタートアップ企業にとっては、下記の点で重要です。

  • 資金状況を把握し、適切な資金の流れを検討する
  • 投資家(ベンチャーキャピタルやCVC)の投資の判断材料となる

まず、スタートアップ企業にとっては、1カ月でどれだけコストがかかるのか、売り上げとのバランスはどうかといった、資金の流れを具体的に把握することが大切です。そのため、資金の現状を分析するためにバーンレートとランウェイは重要な指標となります。

また、スタートアップ企業にとって、投資家からの投資も重要です。多くの投資家は、将来的に成長を期待できる企業か、投資後の利益をどのくらい見込めるかに加え、資金ショートのリスクやキャッシュの流れなども投資の判断材料としています。そのためにも、バーンレートとランウェイを安定した状態に維持することが大切です。

資金状況を把握することが可能

スタートアップ企業がスムーズに資金繰りを行うためには、資金が何に、どのくらいのスピードで消費されるのかといった流れを具体的に把握しなければなりません。その際、バーンレートとランウェイの状況を見ると、その後の経営計画も立てやすくなります。

なお、一般的には、ランウェイが18ヶ月以上であれば安定した経営を維持できるとされています。12ヶ月を切ったら、経営戦略の見直しや、新たな資金調達を検討した方がよいとされています。

投資家(ベンチャーキャピタルやCVC)の投資の判断材料となる

投資家が企業に投資するかどうかの判断は、その企業の将来性などに着目することが多いです。そのための判断材料となるのがバーンレートとランウェイです。投資後、具体的にどのくらいの利益が見込めるか、将来的に株式上場を果たせる企業か、といった判断に加え、資金ショートのリスク、足元から将来的なキャッシュの流れなどを確認するために、1カ月の資金の流れと残りの資金余力などにも注目します。

そのため、スタートアップ企業は、直近の数字だけでなく、中長期的な視点でバーンレートとランウェイをしっかりと分析し、適切な状態に維持できるよう随時経営戦略を見直すことが大切です。バーンレートとランウェイがどのような状態の時に、どういった戦略で収益拡大に転じたか、といった結果を数値に反映することが、投資家からの信頼につながります。

バーンレートとランウェイがどのような状態であるのが適切なのか

では、バーンレートとランウェイは、どのような状態を保っておくのがよいのでしょうか。一般的には、ランウェイが18ヶ月以上であれば理想的と言われています。12ヶ月を切ったら、経営戦略の見直しを検討した方がよいでしょう。時には、自社商品の開発より、受託開発を請け負うなど、新たに資金を調達することに舵をきり、キャッシュを増やすことを優先する方がよいこともあり得ます。

ただし、バーンレートが高いこと自体は、必ずしも悪いわけではありません。スタートアップ企業にとっては、多少の赤字は覚悟の上で、「この商品をウリにして収益を上げる!」といったものを確立することも大切だからです。そのため、コストの削減や新たな資金の調達をスピーディーに検討しながら、バーンレーンとのバランスを取っていくことが重要となります。

スタートアップ企業が生き抜くためのポイント

スタートアップ企業の生存率は高くないと言われています。競争社会の中で生き抜いていくためには、経営者がバーンレートとランウェイをいかに適切な状態に維持できるかが大切です。そのためには、その時の状況に応じて、例えば、多少バーンレートが高めでも自社プロダクトの成長のために投資する、あるいは、リストラなども含めて思い切ったコスト削減に踏み切る、といった判断をスピーディーに行うことがとても重要となります。

また、投資家からの出資を好条件で得るためには、「この企業になら投資するメリットがある」と判断してもらえることが大切です。そのためには、1カ月単位のバーンレートだけでなく、長期的な視点で経営戦略を明確にする必要があります。現代社会にはどの世代に、どのようなニーズがあるのか、どのような事業を展開すれば利益を上げられるか、といったビジョンを明確にし、アピールできるようにしておきましょう。

まとめ

スタートアップ企業の経営者が事業計画や資本の調達について考える際には、1カ月の実質コストを示す「(ネット)バーンレート」と資金余力を示す「ランウェイ」を適切に保つことが大切です。ランウェイが12カ月を切り、バーンレートが高い状況の場合は、新たな資金の調達や、思い切った経費削減など、速やかに経営戦略を見直しましょう。

ただ、バーンレートが高いこと自体が問題ではないこともあります。自社プロダクトを成功させられる見通しが明確な場合は、多少、赤字の時期があってもそこにかけるべきでしょう。また、スタートアップ企業の生存率は高くないため、1カ月単位での資金の流れだけでなく、長期的な流れをより具体的に把握しておくことも重要です。そのためにも、世の中の人々が何を求めているのか、どのような商品を提供すれば利益が上がるか、といった経営ビジョンを明確にしておきましょう。

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